本書「はじめに」より
山の上にある尼寺で暮らした7年間の思い出を描いたコミックエッセイ『尼寺のおてつだいさん』(アルソス)の出版から、早いもので3年半がたちました。
山を降りてからの私は、関西のわりと田舎にある実家で母と二人で暮らしています。
今までは、さまざまなアルバイトをしながらバックパックを担いで海外を旅したり、お寺に住み込んだりして実家を離れていました。それが年を重ねるうちに、自分が大事にしたいことの順番が徐々に変わってきて、年をとった両親とできるだけ一緒に過ごしたいと思うようになって、今に至ります。
70代半ばの母と50代の娘の同居生活は、とても平凡で穏やかです。
最近は、母と近所を散歩したり、晩ご飯の献立を考えたり、テレビ番組を観て一緒に笑ったり、何てことのない日々ですが、四季折々なんだかんだ二人で楽しく暮らしています。
働き方や暮らし方が変わってきた今日この頃、きっと我が家と同じような年齢で母娘同居をしている人たちも大勢いると思います。
この本を読んで「あっ、我が家と同じだ」と笑ったり、疲れていた気分が少し和んだり、ご自身の家族を思い出したりして楽しんでいただけたらと思っています。
この本を手にとってくださった皆さんの本日が晴天でありますように。
内容
NHK「やまと尼寺 精進日記」にお手伝いさんとして出演していた「まっちゃん」によるコミックエッセイ第2弾。
70代のお母ちゃんと50代のまっちゃん母娘のなんてことのない二人暮らしの日々を綴った4コマ漫画&エッセイです。
ゆっくりと移り変わる四季と共にゆっくり過ぎていく平穏な日々の中で、母娘二人がクスッとしたり、うるっとしたり、ほっこりした瞬間を4コマ漫画に詰め込んだ癒される一冊。
目次
はじめに
春
……お花見/鯉のぼり/我が家の春の暖/使い勝手がいいから/お母ちゃんの若竹煮/だんだん好きになっていく/カーネーション/母の日の贈りもの/庭いじり/花粉症/焼くのは私じゃない/我が家のお菓子タイム
夏
……らっきょうは畑の薬/梅雨の連携プレー/夏の水分補給/おばあちゃんのアッパッパー/七夕とてるてる坊主/保冷剤/お母ちゃんのリゾート/土用の丑の日/梅酒でほわっ/梅シロップの作り方/入道雲/半分っこ
秋
……干し柿/月のきれいな夜は/お彼岸/栗拾い/お母ちゃんのために?/スポーツの秋/母は働き者/秋の七草/紅葉の楽しみ方/受け継がれる割烹着/お母ちゃんのドライブ/そっくりさん/我が家の歴史
冬
……家の中でも厚着/一度入ったら出られない/お母ちゃんの編み物/米糠カイロ/大掃除の産物/湯たんぽ/お気に入りはそれぞれ/コタツの誘惑/甘酒の効用/物が捨てられない/家庭内リユース
お母ちゃんあるある
……安かったから/いくつになっても/お見送り/耳が遠くて/スマホとお母ちゃん/お母ちゃんの好きなもの/魚の煮つけは作れない/お母ちゃんの自慢/娘からのプレゼント/一緒に歩くと/お母ちゃんの笑顔
おわりに
著者紹介
まっちゃん
子どもの頃から絵を描くのが好きで、高校で漫研に入り少女漫画を描きまくる。
美術の専門学校に進み、卒業後はバックパッカーでアジア各地を放浪。
帰国後、尼寺(音羽山観音寺)のお手伝いさんになり、2016年から2020年までNHK「やまと尼寺 精進日記」にも出演。
創作手作りが大好きで、裁縫や消しゴム判子が得意。著書に『尼寺のおてつだいさん』(アルソス)がある。