読者の皆様へ
この本の企画は、著者松井さんとの何気ない会話の中から生まれました。松井さんが昭和歌謡の番組をBSで手掛けているとは失礼ながら知らずに、「最近、昭和がブームで、昭和歌謡も世代を超えて話題となっていますよね? 昭和歌謡現役世代は懐かしい、青春の思い出。昭和歌謡の実体験のない平成令和世代には、古いけど新しい、歌詞がエモいなど。昭和歌謡って、曲もそうですが、歌詞だけでもストーリー性があって、今の音楽にはない抒情詩的で、なにか変に想像力を掻き立てるというか・・・・・」などと話していたら、著者松井さんが昭和歌謡に番組構成に携わっているだけに、いろいろと昭和歌謡の面白いお話をお聞かせくださり、歌好きな編集者としては、懐かしくもあり新しくもある昭和歌謡の本を作りたくなり、松井さんに執筆をお願いした次第です。
戦前、戦中、戦後。高度成長。昭和天皇崩御と64年の昭和の時代は、始めと終わりだと日本自体が180度全く違う社会に変わった激動の時代でもあり、人々の価値観や風俗・風習も戦前と戦後、昭和の終わりごろでは全く違うものとなりました。
歌は時代を映す鏡でもあり、この本が取り上げる昭和30代以降の歌謡曲自体も、昭和40年、昭和50年と時代を変わるたびに、様々に変化をしています。
また、歌の裏には、様々な人間模様があり、泥臭い世界が広がっています。
名曲の解説本というよりは、歌に隠された人生ストーリーともいえる本書で、昭和歌謡の魅力を存分にお楽しみください。
内容
なぜ昭和歌謡に心惹かれるのか? 名曲誕生に隠された58のストーリー
古くて新しい、親しみやすくて暖かい、エモい昭和歌謡。
昭和レトロブームで注目される昭和歌謡のうち、「黒い花びら」「アカシアの雨がやむとき」「悲しき酒」「ブルー・ライト・ヨコハマ」「また逢う日まで」「よろしく哀愁」「木綿のハンカチーフ」「勝手にしやがれ」「時の流れに身をまかせ」など、昭和30年から昭和64年までの歌謡曲を変えた、時代を反映した全58の名曲の誕生秘話。数々の昭和歌謡のTV番組の構成を手がけた著者が贈る、世代を超えて楽しめ、日本が最も元気だった時代の匂いと風を感じられる一冊。
掲載曲
【昭和30年代のヒット曲】
有楽町で逢いましょう(昭和32年) 歌―フランク永井
夕焼とんび(昭和33年) 歌―三橋美智也
ダイアナ(昭和33年) 歌―山下敬二郎
黒い花びら(昭和34年) 歌―水原弘
誰よりも君を愛す(昭和34年) 歌―松尾和子&和田弘とマヒナスターズ
アカシアの雨がやむとき(昭和35年) 歌―西田佐知子
銀座の恋の物語(昭和36年) 歌―石原裕次郎&牧村旬子
上を向いて歩こう(昭和36年) 歌―坂本九
スーダラ節(昭和36年) 歌―ハナ肇とクレージー・キャッツ
いつでも夢を(昭和37年) 歌―橋幸夫&吉永小百合
可愛いベイビー(昭和37年) 歌―中尾ミエ
ふりむかないで(昭和37年) 歌―ザ・ピーナッツ
高校三年生(昭和38年) 歌―舟木一夫
こんにちは赤ちゃん(昭和38年) 歌―梓みちよ 学生時代(昭和39年) 歌―ペギー葉山
【昭和40年代のヒット曲】
兄弟仁義(昭和40年) 歌―北島三郎
君といつまでも(昭和40年) 歌―加山雄三
悲しき酒(昭和41年) 歌―美空ひばり
夕陽が泣いている(昭和41年) 歌―ザ・スパイダース
星のフラメンコ(昭和41年) 歌―西郷輝彦
ラブユー東京(昭和41年) 歌―黒沢明とロス・プリモス
星影のワルツ(昭和41年) 歌―千昌夫
ブルーシャトウ(昭和42年) 歌―ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
小指の思い出(昭和42年) 歌―伊東ゆかり
今日でお別れ(昭和42年) 歌―菅原洋一
世界の国からこんにちは(昭和42年) 歌―三波春夫
恋の季節(昭和43年) 歌―ピンキーとキラーズ
ブルー・ライト・ヨコハマ(昭和43年) 歌―いしだあゆみ
人形の家(昭和44年) 歌―弘田三枝子
夜明けのスキャット(昭和44年) 歌―由紀さおり
長崎は今日も雨だった(昭和44年) 歌―内山田洋とクールファイブ
黒猫のタンゴ(昭和44年) 歌―皆川おさむ
圭子の夢は夜ひらく(昭和45年) 歌―藤圭子
また逢う日まで(昭和46年) 歌―尾崎紀世彦
わたしの城下町(昭和46年) 歌―小柳ルミ子
よこはま・たそがれ(昭和46年) 歌―五木ひろし
終着駅(昭和46年) 歌―奥村チヨ
喝采(昭和47年) 歌―ちあきなおみ
学生街の喫茶店(昭和47年) 歌―ガロ
あなた(昭和48年) 歌―小坂明子
よろしく哀愁(昭和49年) 歌―郷ひろみ
襟裳岬(昭和49年) 歌―森進一
学園天国(昭和49年) 歌―フィンガー5
【昭和50年代・昭和60年代のヒット曲】
俺たちの旅(昭和50年) 歌―中村雅俊
木綿のハンカチーフ(昭和50年) 歌―太田裕美
北の宿から(昭和50年) 歌―都はるみ
横須賀ストーリー(昭和51年) 歌―山口百恵
勝手にしやがれ(昭和52年) 歌―沢田研二
津軽海峡・冬景色(昭和52年) 歌―石川さゆり
時には娼婦のように(昭和53年) 歌―黒沢年男
微笑がえし(昭和53年) 歌―キャンディーズ
魅せられて(昭和54年) 歌―ジュディ・オング
異邦人~シルクロードのテーマ(昭和54年) 歌―久保田早紀
舟唄(昭和54年) 歌―八代亜紀
昴―すばる―(昭和55年) 歌―谷村新司
矢切の渡し(昭和56年) 歌―細川たかし
恋におちて~Fall in Love~(昭和60年) 歌―小林明子
時の流れに身をまかせ(昭和61年) 歌―テレサ・テン
著者紹介
松井信幸(まついのぶゆき)
脚本家、放送作家、フリーライター。1963年愛知県出身、信州大学人文学部卒業。情報系、経済系TV番組の構成や、企業向けVP作品、インフォマーシャル、生配信イベントなどを幅広く手がけ、脚本家出身の経験を生かし、ドラマ的手法を用いて人物の生涯を劇的に振り返る作風が評価されている。主な脚本作品に『横浜心中』、『鉄道警察官・清村公三郎シリーズ』、主な構成作品に『昭和偉人伝』(BS朝日)、『ザ・偉人伝』(BS朝日)、『追悼なかにし礼 ラストメッセージ』(BS11)、『GINZA CROSSING Talk』(日経CNBC)、『日経スペシャル 日本株は買いか』(日経CNBC)、主な著書に『マエストロ、それはムリですよ‥』(ヤマハミュージックメディア)、『駅スタンプの旅』(エイ文庫)などがある。